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船の街

2022-09-07

 波方事業所の藤本です。

 

 コロナ禍が今治を直撃し、波方事業所も一

騒動も二騒動もありましたが、協力会社のみ

なさん、愛和の社員のみなさんのおかげでな

んとか乗り切ることができました。暑い中、

本当にありがとうございました。

 さて、みなさんお盆休みはどう過ごされま

したか?私は法事があり本州の福山に行って

いましたが、時間があったので呉に足を延ば

してみました。

 私は松山から柳井に行ったり、厳島に行く

ときに乗船したフェリーが呉に寄港する際に

海から呉の町並みはよく見ていましたが、今

回陸路にて訪れるのは初めてでした。福山か

ら尾道、三原、竹原、呉と車を走らせながら

町並みを見てみると本州とはいえ、良く見慣

れた港町の風情が感じられ、少し親近感があ

ります。竹原市から呉市に入っても呉市街ま

では結構山越えの連続でなかなかたどり着か

ないなーという印象でした。この山々が天然

の要塞となって明治から続いた軍港・呉が発

展していくことになりました。

 呉の観光スポットと言えば、大和ミュージ

アムと海上自衛隊の資料館、通称てつのくじ

ら館です。私はまず、てつのくじら館を訪れ

ました。資料館のほうは海上自衛隊の掃海活

動やこれまでの海上自衛隊が保有する潜水艦

の変遷を見ることができます。

そして、実際に就役していた潜水艦の内部に

入ってみます。

うーん、大きい!!

というのが外から見た第1印象です。

この潜水艦は2004年に退役した「あきし

お」(全長76メートル、2200トン)

しかし、内部に入ってみるととにかく狭い。

発令所や居住スペースだけ見れば戦闘艦の内

部と言うよりも、たとえは悪いですが病院の

レントゲン室のような感じがします。

こんな狭いスペースで任務に就かれている隊

員のみなさんには本当に頭が下がります。

続いて大和ミュージアムにも訪れましたが、

中の様子は割愛させていただいて、

大和ミュージアムの入り口に置かれてあるも

のに心惹かれましたので、ご紹介したいと思

います。

てつのくじら館から移動してくるといきな

巨大な舵とスクリューが出迎えてくれます。

この舵とスクリューは戦艦陸奥のものです。

(Wikipediaより画像を引用。)

戦艦陸奥は長らく連合艦隊の象徴として戦艦

長門とともに国民に愛された戦艦でしたが、

昭和18年6月8日、江田島近くの柱島泊地にて

停泊中に突如、艦後部第3砲塔付近から大爆

発を起こし沈没し、1100名近くの乗員の命を

奪うことになりました。

そして戦後引き揚げられたのが、この舵とス

クリューです。他にも、41センチ連装砲の砲

身部、碇、艦首旗ポールの展示があります。

(戦艦陸奥の主砲41センチ連装砲の砲身。

砲身長は18メートルに及ぶ。)

艦首旗ポールから碇、砲身、スクリューを眺

めることが出来ます。その向こうには退役し

た潜水艦「あきしお」の姿があります。時代は

違えど日本を守るために建造され、役目を終

えた艦艇の姿を一度に見ると、終戦記念日が

近かったこともあり、私の心に様々な気持ち

が去来しましたがこれも日本がたどってきた

道なのだと私の胸に刻みました。

大盛況の大和ミュージアムを見学し、外に出

てきました。呉港の風景です。

写真では見えませんが、港の入り口付近では

護衛艦「かが」とおぼしき艦艇が訓練を行って

いるようでした。そして、写真の奥の方に見

える赤茶けた構造物群は日鉄日新製鋼呉製鉄

所です。呉港の入り口にあり、その威容に目

を奪われます。

(日本経済新聞より写真を抜粋)

1951年に呉海軍工廠跡地にて操業開始し、

1961年には高炉に火が入った呉製鉄所も時代

の変化に伴う製鉄業の再編のあおりを受け、

まもなく60年あまりの操業を終えることにな

ります。昨今の鋼材費の高騰も海外情勢もあ

りますが、その再編によるものもあろうかと

思います。私はこの近くを車で走りました

が、哀愁漂う古ぼけた構造物に呉の今と昔を

同時に見るような気がしてとても感慨深く感

じました。

 最後に呉に行ったらここしかないという場

所をご紹介したいと思います。結局、倉橋

島・江田島までドライブして呉に戻ろうと車

を走らせていると妻が「あれいからすこじ

ま」に行こうというので、あれいからすこじ

ま?呪文か何かかと思いながら話を聞くと護

衛艦を間近で見られるというので行ってみま

した。

護衛艦艇が多数係留されているのを見ること

ができます。あれいからすこじま、正式には

「アレイからすこじま」と言います。アレイ

とは英語で路地という意味で、からすこじま

とは烏小島という小島がこのあたりにあった

そうですが大正時代に埋め立てられ日本海軍

の魚雷発射訓練場として用いられてきた場所

です。「アレイからすこじま」は先ほど紹介

した呉製鉄所と海上自衛隊呉基地が両隣にあ

り、呉基地のとなりにはジャパンマリンユナ

イテッド呉事業所があります。

(広島公式観光サイトより画像を引用。)

赤レンガの小道を歩きながら護衛艦艇を間近

に見ることができます。近くには戦火を免れ

た赤レンガの倉庫も残っており、昔の情緒あ

ふれる観光スポットです。

(係留されているそうりゅう型潜水艦。)

(呉基地に所属する第4護衛隊群、呉地方隊所属の護衛艦艇と第1潜水隊群所属の潜水艦。)

 海軍の街として名を馳せ、今もなおその役

割を引き継ぎその歴史とともに歩む街・呉。

先述の呉製鉄所の閉鎖や人口減少によって活

気を失いつつ、もがく姿は今治と重なるとこ

ろが多いと私は感じます。今治も造船業も形

を変えながらもこれからどう残っていくか、

思いつきで足を延ばした呉にていっそう考え

させられた私でした。

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